OTC類似薬とは、薬局やドラッグストアで処方箋なしに買える市販薬(OTC医薬品)と、成分や使い方がそろっている処方薬のことです。令和9年3月1日から、対象の処方薬を保険診療で使うと、その薬剤費の4分の1を、保険とは別に支払うことになります。ここでは、対象の範囲、負担がかからない場合、1割・2割・3割の方の計算の仕組みを確認します。窓口負担の割合そのものは窓口負担割合の判定ページで確認できます。
仕組みと開始時期
厚生労働省の特設ページ(2026年9月30日更新)によると、市販薬との代わりになりやすい処方薬を保険診療で使うとき、その薬の薬剤費の4分の1を、患者が別途に支払う仕組みが、令和9年3月1日から始まります。根拠は、令和8年6月5日に公布された健康保険法等の一部を改正する法律です。
厚生労働省は、この制度を「必要な受診をしたうえで、結果として対象の薬を使う場合に、別途の負担をお願いするもの」と説明しています。症状に応じた受診を控える必要はありません。
対象になる医薬品
対象は、OTC医薬品と成分・投与経路(飲み薬か、塗り薬かなど)が同じで、1日の最大用量も変わらない処方薬です。特定の解熱鎮痛薬、去痰薬、便秘薬、抗アレルギー薬などが含まれます。
- 令和8年8月27日の社会保障審議会医療保険部会の資料では、対象は77成分(1,042品目)です。品目は令和8年8月1日時点の数です。
- 成分の例は、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、ヘパリン類似物質、白色ワセリン、酸化マグネシウムなどです。
- 対象の成分と品目の一覧は、厚生労働省の特設ページに公表されています。ご自身の薬が対象かは、一覧で確認できます。
別途の負担がかからない場合
厚生労働省の特設ページでは、次のいずれかに当たる場合、薬剤費の4分の1の別途の負担の対象外とされています。
- こども(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)
- がんの治療、またはそれに関連して生じた状態に使う場合
- 指定難病、またはそれに関連して生じた状態に使う場合(小児慢性特定疾病は18歳から20歳までの方)
- 国の公費負担医療で使う場合
- 入院中に使う場合(退院時の処方を含む)
- 体に傷をつける検査・処置・手術に伴って使う場合(検査などの後14日以内の使用)
- 医師が、1年を通じた症状の続き方と治療の継続性を確認し、長期の使用が医療上必要と認めた場合
- 市販薬の効能・効果では対応できない状態に使う場合
- 妊婦、妊娠している可能性のある方、授乳中の方が、特定の対象医薬品を使う場合
市販薬の効能・効果では対応できない場合の例として、厚生労働省は、フェキソフェナジン塩酸塩を挙げています。この成分の市販薬には、鼻のアレルギー症状の効能はありますが、じんましんや皮膚の病気に伴うかゆみの効能はありません。かゆみの目的で処方されたときは、対象外です。
対象か対象外かは、医師の診察を踏まえて判断されます。後期高齢者医療の被保険者かどうか、1割・2割・3割のどれかによる除外は、厚生労働省の案内には載っていません。
窓口負担の計算の仕組みと計算例
厚生労働省の令和8年9月30日の事務連絡によると、患者が支払う総額は、次の2つの合計です。
- 別途の負担(特別の料金): 薬価の4分の1に、薬の全量を掛けた額
- 保険の対象部分の自己負担: 薬価から4分の1を引いた額に、1割・2割・3割の自己負担率を掛けた額
別途の負担は、同じ処方箋の中で10円未満なら10円に切り上げます。10円以上は、5円未満を切り捨て、5円以上10円未満を10円に切り上げます。
次の計算例の薬価は、仕組みを見るための仮の数字です。実在の薬の価格ではありません。1錠の薬価が20円で、1日2錠を30日分、この薬だけを処方された場合です。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 別途の負担 | 薬価20円の4分の1(5円)×60錠 | 300円 |
| 保険の対象部分の薬剤費 | 薬価から引いた15円×60錠 | 900円 |
| 1割負担の方の自己負担 | 900円×0.1 | 90円 |
| 2割負担の方の自己負担 | 900円×0.2 | 180円 |
| 3割負担の方の自己負担 | 900円×0.3 | 270円 |
この例の総額は、1割の方が390円、2割の方が480円、3割の方が570円です。薬代だけの計算で、診察料などは含みません。別途の負担は割合負担ではなく、負担割合が違っても同じ300円です。実際の金額は、薬の種類と量、保険の点数への換算で変わります。
同じ薬が、先発品の特別の料金(長期収載品の選定療養)にも当たる場合の扱いは、厚生労働省の事務連絡に定めがあります。同じ薬に2つの特別の料金が重なることはありません。
確認先
ご自身の薬が対象か、対象外に当たるかは、処方した医師、または薬局で確認できます。負担割合や高額療養費は、お住まいの広域連合または市区町村の窓口で確認できます。連絡先は広域連合の連絡先一覧にまとめています。個別の適用可否は、このサイトでは判定できません。
よくある質問
厚生労働省の案内では、令和9年3月1日から始まります。対象の医薬品を保険診療で使うとき、その薬剤費の4分の1を別途に支払う仕組みです。
年齢による除外は、厚生労働省の案内に載っていません。除外されるのは、こども、がん治療、指定難病、入院中などの場合です。75歳以上の方も、対象の医薬品を使い、除外の場合に当たらなければ別途の負担の対象です。
厚生労働省の案内では、医師の診察を踏まえて、対象か対象外かが判断されます。必要な受診は、これまでどおり受けられます。
厚生労働省の令和8年9月30日の事務連絡では、特別の料金に対する消費税の扱いは、今後の税制改正の議論を踏まえて、令和8年末を目途に追って示すとされています。このページの計算例には消費税を含めていません。
確認日: 2026-10-10。一般的な制度の説明であり、個別の薬が対象か、いくら負担するかを示すものではありません。対象の一覧や対象外の範囲は見直されることがあります。厚生労働省の最新の案内でご確認ください。
出典:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて(OTC類似薬の一部保険外療養)」、厚生労働省 事務連絡 令和8年9月30日「一部保険外療養における費用の計算方法について」、第213回社会保障審議会医療保険部会 資料1、健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要(一次資料・出典一覧参照)。