がん治療の窓口負担と高額療養費(後期高齢者医療・外来年間上限)

抗がん剤・放射線・外来化学療法が長く続くときに、自己負担が止まる仕組みを整理します。

保険が使える範囲のがん治療(抗がん剤、放射線治療、外来での化学療法など)は、後期高齢者医療でも窓口で払う割合は1割・2割・3割のいずれかです。治療が長く続くときは、月ごとの高額療養費の上限、4か月目からの多数回該当、令和8年8月に始まった年間上限で、自己負担が止まります。

ここでは、厚生労働省の資料にある上限額をもとに、がん治療が続く場合の見方を整理します。治療の内容や薬の種類で金額は大きく変わるため、このページでは治療ごとの費用は示しません。

保険が使われる範囲と窓口負担

保険診療として行われる抗がん剤の投与、放射線治療、診察や検査の自己負担は、自分の負担割合(1割・2割・3割)をかけた額で、同じ月の分はまとめて高額療養費の計算に入ります。負担割合の判定は窓口負担割合の判定ページで確認できます。

外来で化学療法を受ける日は、1回で医療費が大きくなることがあります。月の自己負担が上限を超えると、超えた分が高額療養費として払い戻されます。

月ごとの上限(1割・2割の方/3割の方)

令和8年8月から令和9年7月までの、75歳以上で窓口負担が1割または2割の方の月の上限です。外来だけの分は「外来(個人ごと)」、外来と入院をあわせた分は「外来+入院(世帯ごと)」の欄が目安になります。

所得の区分外来(個人ごと)外来+入院(世帯ごと)多数回該当
一般(課税所得145万円未満の方など)22,000円61,500円44,400円
住民税非課税(区分Ⅱ)11,000円25,700円24,600円
住民税非課税(所得が一定以下・区分Ⅰ)8,000円15,700円-(厚生労働省の資料では金額が示されていません)

3割(現役並み所得)の方は、外来だけの個人ごとの上限はなく、医療費の総額に応じた計算式で上限が決まります。

区分(課税所得)月の上限(医療費は10割分の総額)多数回該当
現役並み所得Ⅲ(690万円以上)270,300円+(医療費-901,000円)×1%140,100円
現役並み所得Ⅱ(380万円以上)179,100円+(医療費-597,000円)×1%93,000円
現役並み所得Ⅰ(145万円以上)85,800円+(医療費-286,000円)×1%44,400円

入院を含む月の見方や、仮の数字での計算の流れは手術入院の月の自己負担で確認できます。区分の判定と、令和9年8月以降の見直しは窓口負担割合と高額療養費の区分の違いにまとめています。

4か月目からの多数回該当

厚生労働省の案内では、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目からは自己負担の上限がさらに下がる「多数回該当」になります。抗がん剤や放射線の治療が数か月続く場合は、この仕組みで月の上限が下がることがあります。

令和8年8月の見直しでも、多数回該当の金額は据え置かれています。上の表の「多数回該当」の欄が、4か月目以降の上限です。

令和8年8月からの年間上限

令和8年8月から、月ごとの上限とは別に「年間上限」が設けられました。年間は8月から翌年7月までで、月ごとの自己負担が積み上がっても、年間の上限に達した後は、それ以上の医療費は保険者から還付を受けられます。

負担割合ごとの年間の自己負担の見え方は、負担割合別の年間の自己負担に早見表があります。

窓口で上限までにする方法

厚生労働省の案内では、外来診療でも、マイナ保険証を使うか、事前に「限度額適用認定証」を入手して提示すれば、月ごとの上限を超える分を窓口で払う必要はありません。抗がん剤などで一度の支払いが大きくなりそうなときは、治療の前に準備しておくと、いったん全額を払って後で戻る形を避けられます。

申請先と手続きは限度額適用・標準負担額減額認定証の申請先の比較で確認できます。

上限に入らない費用

高額療養費の上限で止まるのは、保険が使える医療の自己負担です。入院中の食事代、希望した病室の差額ベッド代、先進医療の技術料など保険の対象とならない費用は上限に入らず、別に支払います。一覧は窓口負担割合に含まれない費用、先進医療の仕組みは先進医療・保険外併用療養費と後期高齢者医療で整理しています。

個別の治療が保険診療に当たるか、先進医療に当たるかは、受診する医療機関の窓口で確認してください。払い戻しの申請先は、お住まいの都道府県の後期高齢者医療広域連合です。

よくある質問

抗がん剤や放射線の治療でも、窓口負担は1〜3割ですか。

保険診療として行われる治療の自己負担は、自分の負担割合(1割・2割・3割)をかけた額です。月の自己負担が高額療養費の上限を超えたときは、超えた分が払い戻されます。治療ごとの金額は医療機関で確認してください。

治療が何か月も続くと、上限は下がりますか。

厚生労働省の案内では、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目から上限がさらに下がる多数回該当になります。令和8年8月の見直しでも、この金額は据え置かれています。

令和8年8月に新しくできた年間上限は、がん治療でどう使えますか。

年間(8月から翌年7月まで)で自己負担が年間上限に達した後は、それ以上の医療費は還付を受けられます。外来が中心の1割・2割の一般の方は、外来の年間上限が216,000円です。還付が自動か申請が必要かは、広域連合の案内で確認してください。

この記事について

一般的な制度の説明であり、個別の治療の費用や自己負担額、払い戻しの可否を示すものではありません。確認日は令和8年10月14日です。
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」、厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」(一次資料・出典一覧参照)。