後期高齢者医療の被保険者が海外渡航中に急病やけがで現地の医療機関を受診した場合、帰国後に申請することで、医療費の一部の払い戻し(海外療養費)を受けられます。ただし、対象になる条件や支給額の決め方には注意点があります。複数の自治体・広域連合の公式ページで共通する内容を整理します。
どんなときに対象になるか
海外渡航中に、病気やけがでやむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合が対象です。治療を目的として海外へ渡航し、治療を受けた場合は対象になりません。また、日本の医療保険の適用範囲内の治療に限られます。不正請求対策として審査が強化されており、渡航の事実や、申請に係る療養が渡航期間内に行われたものであることが確認されます(平成25年12月の厚生労働省の通達に基づく取り組み)。
支給額はどう決まるか
支給額は、日本国内で同様の傷病を治療した場合にかかる治療費の基準で算定した額と、実際に海外で支払った費用を比較して、小さい方の金額をもとに決まります。海外で支払った医療費は、支給決定日の外国為替換算率(売レート)で円換算されます。実際に海外で支払った総額そのものが戻るわけではなく、日本の基準額の方が低ければその額が基準になるため、支給額が実際の支払額より大幅に少なくなることがあります。申請から支給までは、目安としておよそ2〜3か月、審査の内容によっては半年以上かかる場合があります。
対象にならない例
次のような治療は、海外療養費の対象になりません。
- 日本国内で保険適用外となる診療、差額ベッド代
- 心臓や肺などの臓器移植
- 高価な歯科材料や歯列矯正
- 交通事故やけんかなど、第三者の行為や不法行為に起因する病気・けが
交通事故等の第三者行為については、国内で受診する場合と同様に別の届出が必要になることがあります。詳しくは交通事故など第三者行為にあったときの届出をご覧ください。
必要書類と申請期限
申請には、現地の医師に記入してもらった診療内容明細書と領収明細書(いずれも原本と日本語翻訳文。翻訳文には翻訳者の住所・氏名の記載が必要)、パスポート、資格確認書等、本人名義の口座がわかるものなどが必要です。複数月にわたって受診した場合は、月ごとに書類が必要になります。申請期限は、医療費を支払った日の翌日から起算して2年間です。期限を過ぎると申請できなくなります。
高額療養費との違い
海外療養費は、海外で支払った医療費の一部払い戻しを受ける制度で、国内の医療費が一定額を超えたときに超過分が戻る高額療養費とは別の制度です。療養費として払い戻される額と、保険で認められた費用のうちの自己負担分は区別してください。神奈川県後期高齢者医療広域連合の療養費の案内では、後者が高額療養費の対象になる場合があると説明しています。具体的な合算方法や支給額の計算はこのサイトでは扱わず、お住まいの広域連合への確認をご案内します。
このサイトで扱わないこと
海外療養費の個別の支給額は、受診した国の物価水準や為替レート、傷病の内容ごとに広域連合が個別に算定するため、このサイトでは試算しません。実際に申請する場合は、お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口にご確認ください。
海外療養費の支給可否・金額・審査期間は、個別の事情によって異なります。一般的な制度の説明であり、個別のケースでの支給を保証するものではありません。正確な手続き方法は、お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口にご確認ください。
出典: 墨田区「後期高齢者医療制度の被保険者が、海外旅行中等に国外で診療を受けた場合に、医療費の払戻しを受けたい。」、北斗市「後期高齢者医療制度 海外療養費」、福岡県後期高齢者医療広域連合「医療給付の内容」(一次資料・出典一覧参照)。各ページの確認日は2026年9月23日です。