胃ろうの造設(胃瘻造設術)、胃ろうカテーテルの交換、飲み込みの訓練(摂食機能療法)は、いずれも医療保険の診療報酬に載っている項目です。窓口で払うのは、保険診療の費用に自分の負担割合(1割・2割・3割)を掛けた額で、1か月の自己負担には高額療養費の上限がかかります。割合は窓口負担割合の判定ページで確認できます。
ここでは、令和8年度の診療報酬点数表で確認した点数から窓口負担の目安額を出し、経管栄養の食事療養費の扱いを整理します。
胃ろう・カテーテル交換・嚥下訓練の点数と窓口負担の目安
厚生労働省の令和8年度診療報酬点数表(告示第69号の医科点数表)で確認できた点数です。1点は10円で、窓口負担は割合を掛けた額です。高額療養費・加算・ほかの診療との同時算定は含みません。
| 場面(点数表の項目) | 点数 | 1割 | 2割 | 3割 |
|---|---|---|---|---|
| 胃ろうをつくる(K664 胃瘻造設術) | 6,570点 | 6,570円 | 13,140円 | 19,710円 |
| 胃ろうカテーテルを交換する(J043-4 経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換法) | 200点 | 200円 | 400円 | 600円 |
| 飲み込みの訓練を30分以上受ける(H004 摂食機能療法 1) | 185点 | 185円 | 370円 | 555円 |
| 飲み込みの訓練が30分未満(H004 摂食機能療法 2) | 130点 | 130円 | 260円 | 390円 |
- 胃瘻造設術は、施設基準の届出がない医療機関では所定点数の100分の80で算定します(点数表の原文)。入院費・麻酔・検査・薬剤などは別に加わります。
- 胃ろうカテーテルの交換は、画像診断または内視鏡等で確認を行った場合に限り算定します(留意事項通知)。
- 摂食機能療法は、摂食機能障害のある患者に月4回まで算定でき、治療開始日から3か月以内は1日につき算定できます(点数表の原文)。訓練は1回30分以上の場合に算定します(留意事項通知)。体制を整えた病院では、摂食嚥下機能回復体制加算が1回につき120〜210点加わります(加算1は210点、加算2は190点、加算3は120点)。
点数表は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」掲載の告示、留意事項通知は同ページ掲載の保医発0305第6号です。実際の請求額は、入院か外来か訪問か、病院の体制で変わります。
月の上限は既存ページで確認
造設の入院などで医療費が大きくなる月は、高額療養費の上限で自己負担が止まります。割合別の上限額の表は手術入院の月の自己負担にあります。区分の違いは窓口負担割合と高額療養費の区分の違い、2割の方の外来の配慮措置は2割負担の配慮措置を見てください。
上限までの支払いにしたいときの手続きは限度額適用・標準負担額減額認定証の申請先の比較に、入院中の食費などが上限に入らない点は負担割合に含まれない費用にまとめています。
経管栄養の食事療養費と在宅の栄養剤
入院中の食事は、診療の費用とは別の食事療養の費用として計算され、標準負担額は高額療養費の対象外です(入院中の食事代参照)。令和8年改定後の入院時食事療養(Ⅰ)の費用額は、通常の食事が1食730円、流動食のみが665円です(入院時食事療養費の告示)。これは費用額で、窓口で払う標準負担額はこの額ではありません。
- 市販の流動食のみを経管栄養で提供したときは、特別食加算を算定しません。ただし経管栄養でも、特別食として提供される食事は特別食に準じて算定できます(令和8年3月5日 保医発第16号)。
- 薬価基準に収載された高カロリー薬を経鼻的に投与した場合は、J120 鼻腔栄養の手技料と薬剤料を算定し、食事療養費は別に算定しません。薬価収載されていない流動食を提供した場合は、手技料と食事療養費を算定します(同通知)。
- 食道癌の手術後に胃ろうから流動食を注入した場合は、鼻腔栄養に準じて扱います(同通知)。
在宅で経管栄養を行う場合の指導管理料は、点数表に次のとおりあります。
| 項目 | 点数 | 1割 | 2割 | 3割 |
|---|---|---|---|---|
| C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料 | 2,500点 | 2,500円 | 5,000円 | 7,500円 |
| C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 | 2,500点 | 2,500円 | 5,000円 | 7,500円 |
| C162 在宅経管栄養法用栄養管セット加算 | 2,000点 | 2,000円 | 4,000円 | 6,000円 |
C105の対象は、栄養素の成分が明らかなものを主に用いた場合で、単なる流動食は該当しません。C105-3の対象は、薬価収載の高カロリー薬、または薬価未収載で市販の半固形流動食(後者は入院中に退院時から指導管理を行っている場合に限る)です(留意事項通知)。栄養剤そのものの薬剤料は、どの製品が処方できるかで変わるため、主治医と薬局で確認してください。
病院・施設で確認すること
- 造設は入院か日帰りか、入院なら想定される期間と月またぎの有無
- 造設を行う医療機関の施設基準の届出(点数が8割になるかどうか)
- カテーテル交換を外来で行うか訪問で行うか、交換の間隔
- 飲み込みの訓練を行う場所(病院・訪問)と、1回あたりの時間
- 栄養剤が処方(薬価収載)か、市販の食品か、月の見込みの費用
- 限度額の認定やマイナ保険証での上限適用が使えるか
訪問での診療や看護を使う場合は訪問診療・在宅医療の窓口負担と訪問看護療養費を参照してください。
よくある質問
胃ろうをつくる手術は保険が使えますか。
使えます。令和8年度の診療報酬点数表で「K664 胃瘻造設術」は6,570点(1点10円)で、手術料だけの窓口負担の目安は1割6,570円、2割13,140円、3割19,710円です。入院費・麻酔・検査・薬剤は別で、施設基準の届出がない医療機関では点数が8割になります。月の上限は所得の区分で決まります。
胃ろうカテーテルの交換にも窓口負担がかかりますか。
かかります。「J043-4 経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換法」は200点で、窓口負担の目安は1割200円、2割400円、3割600円です。確認を画像診断または内視鏡等で行った場合に限り算定します。診察料など別の費用が加わることがあります。
飲み込みの訓練の費用はどうなりますか。
「H004 摂食機能療法」は30分以上で185点、30分未満で130点です。30分以上の窓口負担の目安は1割185円、2割370円、3割555円です。月4回まで算定でき、治療開始日から3か月以内は1日につき算定できます。体制を整えた病院では加算が120〜210点加わります。
一般的な制度の説明であり、個別の費用や自己負担額、保険適用の可否を示すものではありません。確認日は令和8年10月19日です。
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬点数表(医科、告示第69号)、同 留意事項通知(保医発0305第6号)、入院時食事療養費の告示(令和8年改定)、入院時食事療養費の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発第16号)、厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(一次資料・出典一覧参照)。
