自宅での看取りでは、通常の訪問診療の費用に、亡くなる前後に限って加わる「加算」があります。加算は診療報酬の一部なので、窓口では病院での診療と同じ1割・2割・3割の自己負担です。
このページでは、加算の名称と算定の条件を厚生労働省の点数表の原文で確認し、自己負担の考え方を説明します。
看取りに関わる3つの加算
厚生労働省の診療報酬点数表(第2部 在宅医療)の「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)」には、次の3つの加算が定められています。
- 在宅ターミナルケア加算: 在宅で亡くなった患者(往診または訪問診療のあと24時間以内に在宅以外で亡くなった患者を含む)に、死亡日と死亡日前14日以内に2回以上の往診または訪問診療をした場合に算定されます。 点数は、医療機関が在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院かどうか、病床の有無で3,500点から6,500点までの区分に分かれています。
- 看取り加算: 往診または訪問診療をして在宅で患者を看取った場合に、3,000点が加算されます。
- 死亡診断加算: 死亡診断を行った場合に、200点が加算されます。ただし、看取り加算を算定する場合は、死亡診断加算は算定できません。
看取り加算と死亡診断加算は、点数表に「(1を算定する場合に限る)」と書かれており、訪問診療料の区分「1」を算定する場合の加算です。施設基準を届け出た医療機関では、がん患者に酸素療法をしていた場合などに、さらに加算が付く区分もあります。
どの加算が算定されるかは、患者の状況と医療機関の届出で決まるため、診てもらう医療機関に確認してください。
自己負担の考え方
診療報酬の加算は、診察や処置の費用と同じく、医療保険の給付の対象です。後期高齢者医療の自己負担は、費用の1割で、所得が一定以上の人は2割、さらに高い人は3割です。加算の分も、本人の負担割合を掛けた額が窓口負担になります。
計算の形は次のとおりです。
- 加算の費用 = 点数 × 1点あたりの金額
- 窓口負担 = 加算の費用 × 負担割合(1割なら0.1、2割なら0.2、3割なら0.3)
たとえば看取り加算は3,000点なので、同じ点数でも、1割の人と3割の人では窓口負担が3倍違います。
| 加算 | 費用(1点10円) | 1割 | 2割 | 3割 |
|---|---|---|---|---|
| 看取り加算(3,000点) | 30,000円 | 3,000円 | 6,000円 | 9,000円 |
| 死亡診断加算(200点) | 2,000円 | 200円 | 400円 | 600円 |
表は加算だけを取り出した説明用の計算で、1点は10円です(診療報酬の算定方法)。診察料などほかの費用は含まず、看取り加算と死亡診断加算は同時に算定できません。診療報酬の改定で点数が変わりうること、実際の請求額は診療の内容で変わることにご注意ください。
ご自身が1〜3割のどれに当たるかは窓口負担割合の判定で確認できます。
自宅での診療の基本的な自己負担と、医師が来るための交通費が保険の対象外であることは訪問診療・往診の自己負担で説明しています。
訪問看護のターミナルケア
医療機関の看護師が自宅へ訪問して行う「在宅患者訪問看護・指導料」にも、「在宅ターミナルケア加算」が定められています。
点数表の原文では、在宅で亡くなった患者(または特別養護老人ホーム等で亡くなった患者)に、死亡日と死亡日前14日以内に2回以上の訪問看護・指導をし、 ターミナルケアに係る支援体制を患者と家族に説明した上でターミナルケアを行った場合に算定する、と書かれています。
訪問看護ステーションの訪問看護は、医療保険では「訪問看護療養費」という別の仕組みです。要介護認定を受けている人は、原則として介護保険の給付が優先されます。ステーションのターミナルケアの費用は、このページでは確認できていないため、金額や条件は書いていません。
訪問看護療養費の全体は訪問看護療養費のページをご覧ください。
高額になったとき
高齢者の医療の確保に関する法律は、療養の給付で支払った一部負担金が著しく高額であるときは、高額療養費を支給すると定めています。 看取りの加算を含む自己負担も、療養の給付の一部負担金なので、1か月の自己負担が限度額を超えれば、払い戻しの対象になる可能性があります。
次の点は、一次資料で確認できていないため、このページでは断定しません。
- 亡くなった月の自己負担が、外来の限度額と世帯の限度額のどちらの計算に入るか
- 亡くなった方の高額療養費の払い戻しを、遺族がどう申請するか(手続きの詳細は広域連合ごとに異なる場合があります)
限度額と申請の可否は、お住まいの広域連合に確認してください。限度額の区分と窓口負担割合の関係は窓口負担割合と高額療養費の区分の比較に整理しています。亡くなったあとの保険の手続きは被保険者が亡くなったときをご覧ください。
このサイトで扱わない費用
介護保険の訪問サービスや施設の費用、葬儀や死亡後の手続きの費用は、このサイトの対象外です。 入院して最期を迎える場合の入院中の食事代などは入院時の食事代のページをご覧ください。 広域連合の窓口は都道府県別の一覧から確認できます。
よくある質問
自宅で看取ってもらうと、看取り加算の自己負担はいくらですか。
看取り加算は3,000点で、1点は10円なので費用は30,000円です。窓口負担は1割で3,000円、2割で6,000円、3割で9,000円になる計算です。診察料などほかの費用は別にかかります。
看取り加算と死亡診断加算は両方払うのですか。
点数表では、看取り加算を算定する場合は死亡診断加算を算定できないとされています。どちらが算定されるかは医療機関に確認してください。
在宅での看取りの費用が高額になったら、高額療養費は使えますか。
看取りの加算を含む自己負担も療養の給付の一部負担金なので、1か月の自己負担が限度額を超えれば払い戻しの対象になる可能性があります。亡くなった月の限度額の計算や遺族の申請は、広域連合に確認してください。
一般的な制度の説明であり、個別の診療に加算が算定されるか、実際の請求額や限度額がいくらになるかの判断は行っていません。確認日は令和8年10月13日です。
出典:厚生労働省「診療報酬点数表 第2部 在宅医療」(在宅患者訪問診療料・在宅患者訪問看護・指導料の注)、e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律」(一部負担金・高額療養費の各条)、厚生労働省「診療報酬の算定方法」(1点10円)(一次資料・出典一覧参照)。