この記事でいう世帯分離は、住民票上の世帯を分けることです。後期高齢者医療では、保険料の均等割の軽減は世帯主と被保険者の所得で、窓口負担割合は同じ世帯の被保険者の所得で判定されます。そのため、世帯の分け方は2つの判定に関わります。ただし、世帯分離をすると得になるか損になるかは、世帯ごとの所得の組み合わせで変わります。ここでは判定の仕組みと反映の時期だけを整理し、個別のケースの有利不利の判断は行いません。
保険料の軽減判定は、世帯主も含めて見る
後期高齢者医療の保険料は、全員が等しく負担する均等割額と、所得に応じた所得割額の合計です。このうち均等割額は、所得の低い世帯で軽減されます。杉並区の案内によると、軽減は同じ世帯の後期高齢者医療の被保険者全員と世帯主の「総所得金額等を合計した額」をもとに判定され、世帯主が被保険者でない場合でも、世帯主の所得は軽減を判定する対象になります。千葉県後期高齢者医療広域連合も、被保険者や世帯主の所得により自動で判定するため、申請は必要ないと案内しています(所得の申告がない場合は、申告が必要になることがあります)。
つまり、世帯を分けると、軽減の判定に入る人の組み合わせが変わります。判定に入る所得の合計が変わるため、軽減の割合が変わるかどうかは世帯ごとに違い、世帯を分けたからといって保険料が安くなるとは限りません。軽減の割合と保険料の全体像は保険料の軽減と子ども・子育て支援金をご覧ください。
世帯分離はいつの保険料に反映されるか
軽減の判定は、その年度の4月1日(年度の途中で資格を取得した人は資格を取得した日)の世帯の状況で行われます(杉並区・千葉県後期高齢者医療広域連合の案内)。見附市は、年間保険料の基準日は4月1日で、毎年4月1日現在の住民票上の世帯の状況で軽減割合を決めるため、4月2日以降の世帯分離は当年度には反映されないとしています。年度の途中で世帯を分けても、その年度の保険料の軽減判定には反映されません。
窓口負担割合の判定は、同じ世帯の被保険者で見る
医療機関の窓口で支払う割合(1割・2割・3割)も、世帯単位で判定されます。大阪府後期高齢者医療広域連合は、住民票上の世帯単位で判定し、同一世帯に複数の被保険者がいる場合は、課税所得は高い方の金額を、「年金収入+その他合計所得金額」は被保険者全員の合計をもとに判定すると案内しています。東京都後期高齢者医療広域連合も、同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合、という世帯単位の表現で判定の基準を示しています。
判定は毎年8月1日が基準日で、医療機関等にかかる月の前年(1月から7月までにかかる場合は前々年)の所得等をもとに行われます(東京都後期高齢者医療広域連合)。世帯を分けると、同じ世帯として合計される被保険者が変わるため、判定の単位も変わります。何割になるかは、分けたあとの世帯ごとの所得で決まり、この記事では判定しません。窓口負担割合判定ページに世帯の状況を入れると、全国共通の基準による目安を確認できます。3割と判定された場合に引き下げられる手続きは基準収入額適用申請で説明しています。
確認できなかったこと
今回確認した広域連合・自治体の公式ページには、年度の途中で世帯を分けたときに、窓口負担割合がいつから見直されるかは書かれていませんでした。この点は未確認のため、記載していません。世帯を分ける予定があるときは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口で、保険料と窓口負担割合のそれぞれへの反映の時期を確認してください。
このサイトの判定・試算ページで世帯を入力するとき
窓口負担割合判定ページは、世帯の75歳以上の人数と、世帯全員分の年金収入+その他の合計所得金額の合計を入力します。保険料の目安試算ページは、世帯主・被保険者全員の総所得金額等の合計と、世帯の被保険者数を入力します。世帯を分けた場合は、分けたあとの世帯ごとに、それぞれの世帯の人数と所得を入れて確認できます。どちらも一般的な目安で、実際の判定は広域連合が行います。
軽減の判定や窓口負担割合の判定の運用は、お住まいの市区町村・広域連合によって異なる場合があります。一般的な制度の説明であり、世帯分離をすすめるものでも、個別のケースでどうなるかを判断するものでもありません。正確な取り扱いは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口にご確認ください。
軽減の区分の全体は保険料の軽減と子ども・子育て支援金、3割・2割の基準は国民健康保険・健康保険との違いもあわせてご覧ください。
出典: 杉並区「保険料の軽減措置(後期高齢者医療制度)」、見附市「こんなとき後期高齢者医療保険料はどうなるの?」、千葉県後期高齢者医療広域連合「保険料額の軽減について」、大阪府後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」、東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」(一次資料・出典一覧参照)。