脊柱管狭窄症などの脊椎手術は、術式によって診療報酬点数表の手術料が大きく違います。たとえば腰椎の椎弓切除術は13,310点(13万3,100円)、腰椎の後方椎体固定術は41,160点、内視鏡下の腰椎前方固定術は101,910点です。1点は10円で、窓口で払うのはこの金額に負担割合(1〜3割)をかけた額です。
ここでは厚生労働省の令和8年度医科診療報酬点数表で確認できた手術料だけを表にします。入院料・麻酔・検査・薬・手術に使う材料などは別に算定されるため、表の金額は入院の総額ではありません。月の自己負担の上限は、人工関節・ペースメーカーのページに区分別の表があります。
術式別の手術料(点数と窓口負担)
次は、診療報酬点数表の第10部手術にある骨・関節の手術のうち、脊椎の術式から、腰椎の例を選んだものです。窓口負担は、手術料だけに負担割合をかけた計算値で、実際の請求額ではありません。
| 術式(区分番号) | 点数 | 10割 | 1割 | 2割 | 3割 |
|---|---|---|---|---|---|
| 腰椎椎弓切除術(K142の19) | 13,310 | 133,100円 | 13,310円 | 26,620円 | 39,930円 |
| 腰椎椎弓形成術(K142の23) | 24,260 | 242,600円 | 24,260円 | 48,520円 | 72,780円 |
| 腰椎椎間板後方摘出術(K134の6) | 23,520 | 235,200円 | 23,520円 | 47,040円 | 70,560円 |
| 腰椎後方椎体固定術(K142の11) | 41,160 | 411,600円 | 41,160円 | 82,320円 | 123,480円 |
椎弓切除術は神経の通り道を広げるために骨の一部を切り取る手術、固定術は不安定な椎骨をつなぐ手術で、点数表では同じK142の中に番号を分けて載っています。どの術式になるかは、画像と症状をもとに主治医が決めるため、このページで選べるものではありません。
複数の椎間・椎弓で増える仕組み
K142(脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術)の注1では、椎間または椎弓が併せて2以上のとき、1椎間または1椎弓を追加するごとに、主たる手術の所定点数の100分の50が加算されます。加算は椎間または椎弓を併せて4までです。
- 腰椎椎弓切除術を2椎弓に行うと、13,310点+6,655点で19,965点(19万9,650円)です。
- 椎弓切除術を4椎弓まで行うと、13,310点+6,655点×3で33,275点です。5椎弓目以降は加算されません。
- 同じK142の注2では、後方・後側方の固定術などの点数に、手術した椎間に隣接する椎弓の椎弓切除術・椎弓形成術の点数が含まれます。固定術に併せて椎弓切除術をしても、その分は別に足されません。
- K134の椎間板摘出術(後方)は、複数椎間板加算が1椎間ごとに100分の50で、4椎間までです。
つまり、同じ「脊柱管狭窄症の手術」でも、1か所か複数か所かで手術料は1.5倍から2.5倍ほどに変わります。担当医の説明で、手術する椎間・椎弓の数を聞いておくと、窓口負担の見当がつけやすくなります。
内視鏡下の手術は点数が違う
点数表には、内視鏡を使う術式が別の区分で載っています。同じ腰椎でも、開いて行う術式と点数が違います。
| 術式(区分番号) | 点数 | 10割 | 1割 | 3割 |
|---|---|---|---|---|
| 腰椎椎弓切除術(内視鏡下)(K131-2の3) | 17,300 | 173,000円 | 17,300円 | 51,900円 |
| 腰椎椎間板後方摘出術(内視鏡下)(K134-2の6) | 30,390 | 303,900円 | 30,390円 | 91,170円 |
| 腰椎前方固定術(内視鏡下)(K142-3の2) | 101,910 | 1,019,100円 | 101,910円 | 305,730円 |
内視鏡下の椎弓切除術は、2椎弓以上のとき1椎弓ごとに100分の50を加算し、4椎弓までです。内視鏡下の前方固定術も、2椎間以上で1椎間ごとに100分の50が加算されます。内視鏡下の術式が受けられるかどうかは、病院の設備と患者の状態で変わるため、点数の高い低いだけで選ぶものではありません。
月の上限との関係
手術を受けた月は、窓口で払う保険診療の自己負担が高額療養費の上限額で止まります。上限は、窓口負担の割合ではなく所得の区分で決まります。令和8年8月診療分からの一般(1割・2割)の外来と入院を世帯で合算した月の上限は61,500円で、区分ごとの表は手術入院の月の自己負担にあります。
上の表の手術料だけを見ても、2割で腰椎後方椎体固定術なら82,320円と一般の上限61,500円を超え、内視鏡下の前方固定術なら1割でも101,910円で上限を超えます。この差額は高額療養費で戻る、または限度額の認定を受けておけば窓口の支払いが上限までになります。手続きは限度額適用・標準負担額減額認定証の申請先の比較で確認できます。
入院が月をまたぐと、月ごとに別々の上限で計算されます。手術前後の通院は外来の枠で見ます。入院中の食事代、差額ベッド代など保険診療でない費用は、上限の対象に入りません。高額療養費の払い戻しの流れは医療費控除と高額療養費の違いも参考になります。
病院で確認すること
- 予定している術式の名称と、手術する椎間・椎弓の数
- 入院の予定日数と、手術日が月の前半か後半か(月をまたぐか)
- 限度額の認定を事前に受けておく手続きの要否
- 手術に使う材料や、保険診療でない費用の有無
よくある質問
脊柱管狭窄症の手術は、手術料だけでいくらですか。
令和8年度の診療報酬点数表では、腰椎椎弓切除術が13,310点(13万3,100円)、腰椎椎弓形成術が24,260点、腰椎後方椎体固定術が41,160点です。窓口で払うのはこの金額に負担割合をかけた額ですが、入院料や麻酔などは別で、月の上限もあるため、実際の請求額は病院で確認してください。
椎間や椎弓が複数あると手術料はどうなりますか。
K142の注1で、2以上のとき1椎間または1椎弓を追加するごとに主たる手術の100分の50が加算され、加算は4までです。腰椎椎弓切除術を2椎弓に行うと19,965点になります。
内視鏡下の手術のほうが自己負担は高くなりますか。
点数表では内視鏡下の術式は別の区分で、たとえば腰椎椎弓切除術は開いて行うと13,310点、内視鏡下では17,300点です。ただし月の自己負担には高額療養費の上限があり、術式の違いが最終的な支払いにどう出るかは所得の区分で変わります。
一般的な制度の説明であり、個別の手術の費用や自己負担額を示すものではありません。表の窓口負担は手術料の点数に負担割合をかけた計算値です。確認日は令和8年10月18日です。
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬点数表(医科)、厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(一次資料・出典一覧参照)。
