自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患で通院を続ける必要がある方の、通院医療費の自己負担を軽くする公費負担医療の制度です。厚生労働省の資料では、一般の方なら医療保険で3割を負担しているところが1割に軽くなり、さらに世帯の所得に応じた月ごとの上限が設けられると説明されています。
75歳以上の方は、後期高齢者医療の被保険者としてこの制度を申請します。ここでは、国の公式資料で確認できる範囲(対象、対象外、上限月額、手続き)を整理します。後期高齢者医療の1割・2割・3割ごとの具体的な扱いは国の資料に書かれていないため、お住まいの市町村での確認が必要です。
後期高齢者医療そのものの窓口負担割合は窓口負担割合の判定ページで確認できます。
対象になる病気と、対象外の医療
対象は、精神障害(てんかんを含む)で、通院による治療を続ける必要がある程度の状態の方です。厚生労働省の資料には、次のような病気が例に挙がっています。
- 統合失調症
- うつ病、躁うつ病などの気分障害
- 薬物などの精神作用物質による急性中毒、またはその依存症
- PTSDなどのストレス関連障害、パニック障害などの不安障害
- 知的障害、心理的発達の障害
- アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
- てんかん
症状がほとんど消えている場合でも、よい状態を保って再発を防ぐために通院治療が必要なときは対象になります。対象になるのは、入院せずに受ける医療(外来、外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護など)です。
次の医療は対象外です。
- 入院医療の費用
- 公的医療保険が使えない治療や投薬の費用(例:病院や診療所以外でのカウンセリング)
- 精神障害と関係のない病気の医療費
自己負担の上限月額
自己負担は、医療費の1割が基本です。この1割が重くなりすぎないよう、世帯の所得に応じて1か月あたりの上限が決まっています。ここでいう「世帯」は、通院する方と同じ公的医療保険に入っている人の集まりです。厚生労働省の資料にある上限月額は、次のとおりです。
| 所得区分 | 上限月額(精神通院医療) |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 低所得1(市町村民税非課税で、本人の年収が82.65万円以下) | 2,500円 |
| 低所得2(市町村民税非課税で、低所得1以外) | 5,000円 |
| 中間所得1(市町村民税の所得割が33,000円未満) | 医療費の1割、または医療保険の高額療養費の自己負担限度額。「重度かつ継続」の場合は5,000円 |
| 中間所得2(所得割が33,000円以上235,000円未満) | 医療費の1割、または医療保険の高額療養費の自己負担限度額。「重度かつ継続」の場合は10,000円 |
| 一定所得以上(所得割が235,000円以上) | 原則として対象外。「重度かつ継続」の場合は20,000円 |
「重度かつ継続」とは、高額な医療費が長く続く方のことです。医療保険の「多数回該当」(直近12か月に高額療養費の支給を3回以上受けた)の方、または次の病気の方などが当てはまります。
- 症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害、認知症など)
- 精神作用物質の使用による精神・行動の障害(アルコール依存症、薬物依存症など)
- 統合失調症、統合失調症型障害、妄想性障害
- 気分障害(うつ病、躁うつ病など)
- てんかん
一定所得以上の「重度かつ継続」の上限月額(20,000円)は、令和9年3月31日までの経過的な特例措置です。表の年収の目安は、国の資料では夫婦と障害のある子の3人世帯での粗い試算とされており、ご自身の区分は市町村で決まります。
申請先・必要な書類・受給者証
- 申請先:お住まいの市町村の担当窓口です。課の名前は市町村で違い、障害福祉課や保健福祉課が担当する場合が多いとされています。
- 申請書:市町村などで入手します。医療機関で入手できる場合もあります。
- 医師の診断書:通院している精神科の病院・診療所で書いてもらいます。精神障害者保健福祉手帳と同時に申請する場合などは、省略できることがあります。
- 所得の確認書類:同じ医療保険の世帯の方の市町村民税の課税証明書または非課税証明書などです。生活保護の場合は受給証明書です。
- 健康保険証の写し:後期高齢者医療の被保険者証など、医療保険の加入関係が分かるものです。
- マイナンバーと身元の確認書類:個人番号カードなどです。
必要書類は自治体で異なることがあります。申請が認められると「自立支援医療受給者証」が交付されます。医療を受けるときは、そのたびに受給者証と自己負担上限額管理票を医療機関に見せます。
受給者証の有効期間は1年以内で、更新が必要です。使える医療機関は、都道府県または指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」で、受給者証に書かれたところに限られます。
なお、重度心身障害者医療費助成など、障害者手帳を持つ方向けの別の助成については重度心身障害者医療費助成と後期高齢者医療で整理しています。
よくある質問
厚生労働省の資料では、アルツハイマー病型認知症や血管性認知症が対象の例に挙がっています。ただし、対象になるかどうかは医師の診断書をもとに判断されます。かかっている医療機関と、お住まいの市町村の担当窓口で確認してください。
公的医療保険を使ったあとの自己負担を軽くする制度で、二重にかかるものではありません。ただし、厚生労働省の資料は医療保険の3割負担を例に説明しており、後期高齢者医療の1割・2割・3割それぞれでの扱いは資料に書かれていません。実際の自己負担は、申請先の市町村で確認してください。
使えるのは、都道府県または指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション)のうち、受給者証に書かれたところだけです。通院先が指定されているかは、医療機関に聞くか、精神保健福祉センターなどで確認できます。
対象外です。厚生労働省の資料では、入院の費用、公的医療保険が使えない治療や投薬(例:病院や診療所以外でのカウンセリング)、精神障害と関係のない病気の医療費は対象外とされています。
有効期間は1年以内で、続けて使うには更新が必要です。更新の受け付けは、おおむね有効期間が終わる3か月前から始まります。病状や治療方針が変わらなければ、2回に1回は医師の診断書を省略できるとされています。
- 確認日: 2026-10-15。
- 一般的な制度の説明であり、個別の適用可否や自己負担額を示すものではありません。
- 対象になるか、自己負担がいくらになるかは、お住まいの市町村の担当窓口(または広域連合)で確認してください。
出典:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」、厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」、厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)の概要」(一次資料・出典一覧参照)。