歯科の治療も、後期高齢者医療の「療養の給付」として、窓口で支払う割合は所得に応じた1割・2割・3割です。自宅や施設に歯科医師が来る訪問歯科診療でも、保険診療なら考え方は同じです。ただし、歯科医師が来るための交通費は患者の負担と決められています。歯科健診の費用とは別のものなので、混同しないようにしてください。
歯科の窓口負担の割合
高齢者の医療の確保に関する法律第67条は、療養の給付を受けるときに窓口で支払う一部負担金を、医療費の10%、20%、30%と定めています。所得が一定の額以上の方は20%、さらに高い額以上の方は30%、それ以外の方は10%です。この条文は診療科で分けておらず、歯科の治療にも同じ決まりが当てはまります。
どの割合になるかは、年金収入や世帯の状況で決まります。判定は窓口負担割合の判定で確認できます。実際の割合は、資格確認書などに記載された「一部負担金の割合」でも確認できます。
訪問歯科診療でも、診療の中身が保険診療であれば、同じ法律の一部負担金の決まりで計算します。一方で、保険診療の範囲かどうかは、治療の内容ごとに決まります。保険の対象にならない治療(自費)を選んだ場合の費用は、1〜3割の計算とは別に、全額の負担になる場合があります。詳しくは歯科医院で、治療を決める前に確認してください。
訪問歯科診療の交通費
厚生労働省の歯科診療報酬点数表には、歯科訪問診療料の注として、次のように書かれています(確認日2026年10月10日)。
- 歯科訪問診療に要した交通費は、患家の負担とする(歯科訪問診療料の注8)。
患家とは患者の家のことです。歯科医師が自宅や施設へ来るための交通費は保険の対象外で、1〜3割の窓口負担とは別に、実費を請求されることがあります。金額を決める基準は、点数表には書かれていません。このページでは目安の額を示せないため、依頼する歯科医院に、事前に交通費の有無と額を聞いてください。
自宅へ医師が来る訪問診療・往診の交通費も同じ考え方です。詳しくは後期高齢者医療の訪問診療・往診で整理しています。
歯科健診との違い
歯科健診(歯科口腔健康診査)は、広域連合が実施する別の事業です。千葉市・柏市・板橋区の案内では、健診そのものの窓口負担はありませんが、健診のあとに必要になった治療の費用は有料とされています。つまり、健診は無料でも、治療を受ければ、この記事で説明した1〜3割の窓口負担がかかります。健診の対象や受け方は後期高齢者の歯科健診を、広域連合ごとの違いは健診の47広域連合別の比較をご覧ください。
高額になったとき
法律では、療養の給付で支払った一部負担金が著しく高額であるときは、高額療養費を支給すると定めています。保険診療の歯科治療も療養の給付なので、自己負担が重なったときは、高額療養費の仕組みの中で考えます。
次の点は、一次資料で確認できていないため、このページでは断定しません。
- 同じ月の医科(内科など)と歯科の外来の自己負担が、限度額の計算で合算されるか
- 訪問歯科診療の自己負担が、外来の限度額と入院を含む世帯の限度額のどちらの計算に入るか
- 交通費の実費や保険外の費用が、限度額の計算に入るか
自分の限度額や払い戻しの対象になるかは、お住まいの広域連合に確認してください。
確認する先
歯科の治療の割合は資格確認書で、治療や交通費の費用は歯科医院で、高額療養費は広域連合で確認できます。お住まいの広域連合は都道府県別の一覧から探せます。
一般的な制度の説明であり、個別の費用や受診の可否の判断は行っていません。確認日は令和8年10月10日です。
出典:高齢者の医療の確保に関する法律(第64条・第67条・第84条)、厚生労働省 診療報酬点数表(歯科)、千葉市「後期高齢者歯科口腔健康診査(歯科健診)を受けましょう」(一次資料・出典一覧参照)。