遺族年金や障害年金を受け取っている人は、後期高齢者医療の保険料や窓口負担割合を調べるとき、その年金を所得や収入に入れてよいのか迷いやすくなります。公式ページで確認できた範囲では、遺族年金・障害年金は、保険料の所得割の計算にも、窓口負担割合の判定に使う「年金収入」にも含まれません。均等割の軽減判定でも含めないと案内する自治体がありますが、広域連合の公式ページで同じ扱いを明記したものは今回確認できませんでした。この記事では、判定ごとに、何を確認できたかを分けて書きます。
保険料の所得割の計算には含まれない
後期高齢者医療の保険料は、全員が等しく負担する均等割額と、所得に応じた所得割額の合計です。このうち所得割額の計算のもとになる所得について、遺族年金・障害年金などの非課税所得は含めないと、次の4つの公式ページが案内しています。
- 千葉県後期高齢者医療広域連合は、所得割額の計算の対象となる「賦課のもととなる所得金額」には、退職所得と、非課税所得(遺族年金・障害者年金・失業給付など)は含まれないと案内しています。
- 長岡京市は、保険料は年金を含む全ての所得にかかるとしたうえで、遺族年金、障害年金など非課税所得は除くと案内しています(2026年7月1日更新)。
- 東大阪市は、遺族年金、障害年金、雇用保険の失業給付などの非課税所得は、賦課基準所得金額の算出には用いないと案内しています(2026年5月1日更新)。
- 船橋市は、所得割額の説明の中で、退職所得と非課税所得(遺族年金、障害年金、失業給付等)は含まれないと案内しています(2026年7月7日更新)。
老齢年金のように所得税・住民税の対象になる年金は所得に含まれ、遺族年金・障害年金は所得に含まれない、という違いです。保険料の全体の仕組みは保険料の目安試算ページで確認できます。
均等割の軽減判定では、含めないと案内する例がある
所得の低い世帯では、均等割額が軽減されます。この軽減判定に使う所得について、札幌市は、障害年金、遺族年金、雇用保険など所得税や住民税のかからないものや、退職所得は含まないと注記しています(2026年9月7日更新)。千葉県後期高齢者医療広域連合の軽減の案内には、軽減判定に使う総所得金額等は退職所得を含まない、専従者控除と譲渡所得の特別控除に係る税法上の規定は適用されない、とあります(2026年5月13日更新)。
ただし、軽減判定での遺族年金・障害年金の扱いを、広域連合の公式ページで明記したものは確認できませんでした。お住まいの地域の扱いは、市区町村の担当窓口か広域連合でご確認ください。軽減の区分の全体は保険料の軽減と子ども・子育て支援金で説明しています。
非課税年金だけの人は、所得の申告が要る場合がある
軽減の判定は、世帯にいる人の所得がわかって初めてできます。船橋市は、収入のない方や遺族・障害年金(非課税年金)のみを受給している方は、市民税・県民税の申告がないと軽減の判定ができないと案内しています。千葉県後期高齢者医療広域連合も、被保険者や世帯主の所得の申告が無い場合には、所得の申告が必要となる場合があると案内しています。
非課税の年金は保険料の計算に入りませんが、所得の申告が無いと軽減が受けられないことがあります。申告が必要かどうかや、申告の窓口は、お住まいの市区町村の担当窓口でご確認ください。
窓口負担割合の「年金収入」には含まれない
医療機関の窓口で支払う割合(1割・2割・3割)の判定では、「年金収入」と「その他の合計所得金額」を使う場面があります。この「年金収入」について、次の3つの広域連合が、遺族年金や障害年金は含まないと案内しています。
- 神奈川県後期高齢者医療広域連合は、「年金収入」は公的年金控除等を差し引く前の金額で、遺族年金や障害年金は含まないと案内しています(2026年8月4日更新)。
- 大阪府後期高齢者医療広域連合は、「年金収入」は公的年金等控除を差し引く前の金額で、遺族年金や障害年金は含まないと注記しています。
- 兵庫県後期高齢者医療広域連合は、「年金収入」には遺族年金や障害年金は含まないと注記しています(2025年10月1日更新)。
判定の基準そのものは、窓口負担割合判定ページで試算できます。同じ世帯に被保険者が複数いるときの見方は世帯分離で何が変わるかで説明しています。
確認できなかったこと
次の点は、今回確認した公式ページに書かれていなかったため、記載していません。
- 均等割の軽減判定で、遺族年金・障害年金をどう扱うかを、広域連合の公式ページで明記したもの(札幌市の注記以外)。
- 窓口負担割合の判定に使う「その他の合計所得金額」で、遺族年金・障害年金をどう扱うか。
個別のケースで保険料の額や窓口負担割合がどうなるかは、このサイトでは判断できません。
このサイトの試算・判定ページに入力するとき
窓口負担割合判定ページの「年金収入」には、遺族年金・障害年金を入れません。上で確認した3つの広域連合の案内に沿った扱いです。保険料の目安試算ページの「課税所得」は、所得割の計算に使う金額なので、非課税の遺族年金・障害年金は含めません。「総所得金額等の合計」(均等割の軽減判定に使う金額)でも、札幌市の注記に沿って含めない扱いが目安になりますが、前の節のとおり明記された例が限られるため、実際の判定は広域連合の判断によります。どちらも一般的な目安です。
判定の運用は、お住まいの市区町村・広域連合によって異なる場合があります。一般的な制度の説明であり、個別のケースでどうなるかを判断するものではありません。正確な扱いは、市区町村の後期高齢者医療担当窓口または広域連合でご確認ください。
出典: 千葉県後期高齢者医療広域連合「保険料の算定方法」「保険料額の軽減について」、長岡京市「後期高齢者医療保険料の算定について」、東大阪市「後期高齢者医療保険料の決め方」、船橋市「後期高齢者医療保険料のご案内」、札幌市「後期高齢者医療保険料」、神奈川県後期高齢者医療広域連合「負担割合について」、大阪府後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」、兵庫県後期高齢者医療広域連合「窓口負担割合が2割となる方へ」(一次資料・出典一覧参照)。各ページの更新日は、2026年9月21日に確認した時点のものです。